難所詳細ルートガイド

北穂高岳 〜北穂高岳南陵ルート〜

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涸沢から眺めた北穂高岳。北穂高岳に向かう大まかなルートを確認することができます。 双眼鏡で眺めると登山者の姿が確認できるはずです。

涸沢からのルートガイド

(穂高連峰全体の登山ルートはこちらを参照してください)
北穂高岳山頂へは槍ヶ岳方面からアクセスする有名な大キレット越えのルートと、穂高岳山荘から涸沢槍経由で稜線をアップダウンするルートがあります。また、涸沢からのルートには東稜、南稜のふたつのルートがありますが、東稜ルートは熟達者のための登山道です。従って一般登山者は南稜ルートを辿ることになります。上高地から横尾まではハイキング感覚で歩くことができます。横尾で横尾大橋を渡ると高山に向かっている。という感覚になるはずです。涸沢までは勾配が強いだけで、特に危険な箇所はありませんが、必ず横尾で給水していきましょう。途中の本谷橋の水は生水としては疑問が残るからです。

涸沢から北穂高岳はピストンです。およそ5時間の歩行時間です。逃げ場はないので、天候の悪い日や悪化しそうな時は無理せず、涸沢でのんびり過ごしましょう。

詳細ルート作成者

中田真二:山岳ライター

長野県松本市出身。高校、大学と山岳部で山と部室の往復に明け暮れる。出版社勤務の後、山歩家に転身。2021年12月現在、国内外3300座余の山に足跡を残す。山岳ガイドに関する著書多数。

日本アルプスガイドセンター理事

北穂高岳南陵ルート全貌

イラスト図は涸沢からのコース概要を簡単に描いたものです。
図で見るようにクサリ場とハシゴがあります。こうした箇所は勾配のある岩場になりますが、クサリ場については登る場合に限って頼らなくてもクリアできるはずです。岩の出っ張りや窪みを掴んで登った方が、クサリを使うよりも安全なことがあるからです。とくに、他の人と間隔を空けずに登ると振られたクサリの影響を受けることがありますので要注意。
南稜テラスまでは勾配が強いので、クサリやハシゴのない箇所も慎重に進みましょう。とくに下りの場合は慎重な行動を。岩場ではすべて三点支持(確保)の姿勢を確保することが大切です。自分が原因で渋滞を起こしたとしても焦らないこと。また、渋滞に巻き込まれてもイライラしないように。

南稜テラスからはそこから山頂までのルートが確認できます。先行する人の姿も見えているはず。気分的に開放されますが、まだまだ岩稜地帯が続きますので緊張感を保つように。

南稜取付点から岩場をクリアすると展望が開けた稜線歩きになりますが、足下は岩だらけ。 勾配の厳しい箇所もあるのでクサリのある箇所では軽く手にもって進みましょう。
すれ違いが難しい岩場。基本的には上り優先ですが臨機応変に。岩に頭をぶつける人の多いエリアです。ヘルメットを装着しましょう。
南稜テラスです。ここから山頂が見えています。ここはキャンプ地としても人気のある場所ですが、水場やトイレはありません。ただし、絶景を独り占めすることが可能です。申し込みは北穂高小屋へ。

南陵詳細ルートガイド

南稜ルート取付点からのクサリとハシゴです。取付点から上方に壁のようにそそり立つ岩場を上下することになります。写真上に引かれた赤い線が上り、青い線が下りになりますが、誰もいなければどちらからアプローチしても構いません。ただし、左側の岩場だと手がかり、足がかりがあるのでクサリに頼ることなく登ることができるはずです。ただし、常にクサリを意識して、危なそうな時にはすぐに掴める範囲を登りましょう。また、下りの時は使用した方が安全です。その後に続く5mほどのクサリと短いハシゴは苦労しないはずです。

最後に長いハシゴがあります。ここはしっかりと三点支持の姿勢で上下ともクリアしましょう。ほぼ垂直の岩場に取り付けられているように見えます。さらに展望が広がってくるため、その高度感から恐怖を感じるはずです。そうした時は深呼吸して、呼吸のリズムに合わせて進めば問題はありません。ただし、悪天候時の通過には要注意です。グループの場合はロープで確保しながら上下することをお勧めしますが、そもそも天候が悪い時、悪化する予報が出ている時は登山を控えましょう。

南稜ルート取付点です。ほとんどの登山者はクサリを利用しないで登っています。写真上の赤線に沿って登ると岩の割れ目や出っ張りに手がかけられるので、クサリを頼るよりもスムーズに進むことができます。 下りの場合も同様に下りることができますが、青線のクサリを使って下った方が時間的には短く済むはずです。上りでも下りでも先行者との距離を空けるようにしましょう。
長いクサリの後は、このハシゴを登ります。高度感があるので、三点支持(確保)の姿勢を崩さないこと。風のある日や雨の時は要注意です。

涸沢〜北穂高小屋 高低図

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