難所詳細ルートガイド

槍ヶ岳 〜槍の穂先〜

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槍ヶ岳山荘前から眺める槍ヶ岳の穂先全貌です。 憧れの山頂に向けてスタートしましょう。

槍ヶ岳山頂部詳細ガイド

(槍ヶ岳全体の登山ルートはこちらを参照してください)
槍ヶ岳山荘から槍ヶ岳山頂までを難所。と定義しましたが、要所には丈夫で立派なクサリやハシゴが取り付けられ、安全性は確実に保たれています。毎年のように小学生連れの親子の姿を見かけるエリアでもあります。だからと言って決して安全な登行が保障されている訳では全く有りません。
例えば天候の悪い日や時間帯、体の調子が悪い時や登るという意欲が薄い時には山頂アタックは控えましょう。もしもの時、他の登山者や小屋のスタッフ、山岳救助隊に多大の迷惑を掛けてしまうからです。前夜に飲む酒も少量に。高所なので平地よりも飲んだ後のダメージが強いからです。
翌日は夜明けを山頂で迎えたい。と誰もが思います。そのため夜明けにはクサリ場やハシゴが渋滞します。少し時間をずらしてトライしましょう。
槍ヶ岳山荘が建つ槍の肩の標高は3,080m。山頂との標高差は100m。すべて岩場を上下することになります。往復で1時間ほど。基本的に上りと下りのルートは分かれていますので、すれ違いに注意しなければならない箇所は少ないです。

詳細ルート作成者

中田真二:山岳ライター

長野県松本市出身。高校、大学と山岳部で山と部室の往復に明け暮れる。出版社勤務の後、山歩家に転身。2021年12月現在、国内外3300座余の山に足跡を残す。山岳ガイドに関する著書多数。

日本アルプスガイドセンター理事

槍の穂先 全貌

 

槍ヶ岳山荘の前から槍の穂先の付け根まで行きます。そこから上りと下りのルートが分かれます。
まず、岩を乗り越えたり、回り込んだりしながら→に沿って登ります。岩を掴んだり、クサリを持ったり、ハシゴに取付いたりしますので両手は常に使えるようにしておきましょう。間違ってもトレッキングポールなどを持って登らないように。

夜明け前の槍ヶ岳です。 登山道には登山者のヘッドランプが列を作ることも多々有ります。夜明けを山頂で迎えるなら、盛夏でも防寒対策が必要です。風のある日は更に要注意です。
下から見上げると垂直に見えますが、しっかりした手がかりがありますので、怖がらず確実に一歩づつです。

 

槍の穂先詳細ルートガイド

五感をフルに活用して長短のハシゴ2本をクリアすると上り下りの共有部分に入りますが、基本的には登る場所と下る場所は別になっています。
そのため、すれ違いに苦労することはないはずです。その先に2連の長いハシゴがあります。高度感がありますが、安全なのでゆっくりクリア。このハシゴの頂点が槍ヶ岳山頂です。展望は360度。
北アルプス全域、南アルプス、八ヶ岳、白山、富士山まで眺めることができます。人工物で見えるのは肩に建つ槍ヶ岳山荘くらいです。山頂からの下りは下り専用のハシゴを利用します。高度感から恐怖心がでてくることもありますが、深呼吸をしてゆっくり下りましょう。ハシゴの後は岩の間を下ります。上りよりもクサリが張られた箇所は多いので、片手に軽く持って歩けば大丈夫です。クサリなどがない場所では三点支持の姿勢で下れば問題はありません。〇や→が岩に描かれていますのでそれに従えば大丈夫ですが、マーキングの若干、左を下った方がスムーズだと思います。真下に槍ヶ岳山荘が見えていますが、高度を意識せず下る作業に没頭しましょう。
展望に優れた槍ヶ岳の山頂です。足下を雲海が流れる神秘的な体験をすることもできます。苦労して登った素晴らしいご褒美を存分に楽しみましょう。
早朝の槍ヶ岳山頂でブロッケン現象を体感。 稀にこうした大気光学現象を体験することができます。

 

左は登り専用、右が下り専用。共にガッチリと岩へ取付けられていますので、落ち着いて行動することが大事です。
下る時も集中して降りましょう。下る際も矢印などは確認してください。
下りはクサリの張られた箇所が多いので、片手に軽く持って下りるようにしましょう。また2歩先3歩先に足を置く場所を考えながら歩くのが、安全に下る方法のひとつでもあります。

槍ヶ岳山荘〜槍ヶ岳山頂 高低図

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