【CONTENTS】ライチョウの四季
ライチョウの四季
3月〜4月
・尾根筋の風衝地(ふうしょうち)にあたたかい陽がふりそそぎ、ガンコウランやコケモモといった矮性(わいせい)低木が顔を出すと、冬の間標高の低い場所に移動していたライチョウが高山帯に戻ってきます。
・雪解けが進むとオスはなわばりを獲得するための争いを開始。目の上の真っ赤な肉冠を広げ、三つどもえの争いをします。時には死亡することも。
4月〜6月上旬
・雪解けの進んだ場所からなわばりが確立されていきます。まだ白い姿のオスが岩の上から自分のなわばりを見張り、侵入者があれば飛び立って追い出します。
・4月中旬頃に高山帯に戻ってきたメスとつがいになります。基本的には、ライチョウは毎年同じペアを組む一夫一妻です。オスはメスを守るためにずっとメスの後ろについて行動します。
5月〜6月
・羽毛が抜け替わる時期です。真っ白だった羽毛は、オスは白と黒、メスは白・黒・茶のまだら模様となり、オスとメスの区別がはっきりします。
・メスは良い場所を探して巣をつくります。背丈が30㎝ほどの低いハイマツの下です。巣ができると、ほぼ2日おきに1卵を産みます。
6月〜7月中旬
ヒナが同時に孵るように卵が6〜7個そろってから抱卵に入ります。抱卵はメスの仕事です。朝夕に20分ほどの食事をする以外は、ずっと卵を温め続けます。卵が孵化するまでの22日間程度メスはそれこそ命を削って卵を温め続けるのです。
7月〜8月
・6月末から7月上旬にかけてヒナが孵化します。すぐに歩けるようになり、
孵化後1日も経たずに巣から離れ、3ヶ月間母親と一緒に生活します。
・オスはヒナが孵化するとなわばり行動をやめ、単独で過ごします。
・ヒナは生後1ヶ月ほどは自ら体温調
節ができないため、母親のお腹の下で抱雛(ほうすう)してもらいます。風衝地でコケモモやガンコウランなどの柔らかい芽、葉、花を採食しながら成長します。
・孵化した頃は梅雨の時期で、山の上は悪天候が続き、まだ飛ぶこともできないので捕食者に狙われます。多くのヒナが生後1ヶ月の間に死亡します。
7月下旬〜8月
・生後1ヶ月ほどになると少し飛べるようになり、
体温調節もできるようになってきます。
・残っていた雪も解け、柔らかい芽が芽吹き花をつける「雪田(せつでん)」と呼ばれる場所へ移動し、9月末頃まで家族で過ごします。
10月〜11月
・初雪が降る10月初め頃に、ヒナは親から独立します。ほとんど親と変わらない若鳥になっています。この時期は成鳥や若鳥が集まって群れをつくる時期です。多いときは30羽ほどの群れになります。オスメスともにくすんだ秋羽に変わり見分けづらくなります。
11月〜12月
・積雪が進むにつれて白い羽がまじるようになり、11月には白い冬羽姿になります。その頃には体がひと回り大きくなっています。
12月〜2月
・高山帯が雪で覆われ餌が採れなくなるため、木がまだらに生える森林限界まで下りてきて生活するようになります。冬の主な食糧はダケカンバの冬芽です。堅いオオシラビソの葉も食べたりします。
・時には雪に潜ったりして厳しい冬をしのぎ、群れでじっと春を待ちます。実は冬の死亡率はかなり低いのです。それは捕食者に狙われないように厳しい環境を選んだからです。
ライチョウの食べ物
植物食で芽、花、葉、実など、
季節ごとに目につく部分を食べています
【夏〜秋】
ガンコウラン、コケモモ、クロマメノキ、ミヤマハンノキ、
ウラジロナナカマド、ハイマツ、ツガザクラ、ウラシマツツジなど
【冬】
ダケカンバの冬芽、オオシラビソの葉、シャクナゲの葉など
【春先】
雪の中からでてきた食べられるものを食べています
ライチョウの捕食者
猛禽類全般
テン、キツネ、オコジョ、カラスなど
自然を壊す要因
「お花畑」の食害による荒廃など高山帯の植生に甚大な悪影響を及ぼしている。
下界から流入してきた捕食者以外の生き物などニホンジカ、イノシシ、登山者の靴裏に付着した下界由来の種子など