【CONTENTS】ライチョウ観察ルールと登山時の注意点

日本のライチョウは人間を外敵とは思っていません。それは素晴しいことです。その信頼関係は少しのことを守るだけでこれからもずっと保たれます。
基本は、ライチョウを刺激しないように一旦静止したり、静かに距離を取りましょう。また、過剰に動いたり、大声を出したりすると驚いて逃げ出してしまいます。こうしたことが連続すると、それまでの信頼関係が崩壊してしまうかもしれません。

【 基本的なルールについて 】

①そっと、見守って

憧れのライチョウに出会えたことの嬉しさはよくわかります。しかし、そこは彼らの棲み処です。むやみに近づいたり追い回したりすることはライチョウにとって大きなストレスです。子育ての時期、母親はヒナへ声で合図をしているので、大声も厳禁です。静かに、そっと観察してください。
もし自分がライチョウだったら。と常に考えながら行動しましょう。そうすれば、ライチョウの嫌がることが理解できるはずです。彼らが住む家に私たちが押し掛けているということを忘れないようにしましょう。

※許可なくライチョウに触れたり捕まえたりすることは違法行為で、処罰の対象になります。過去、2018年の夏に、心ない登山者が唐松岳でライチョウのヒナを鷲掴みにした写真をSNSに投稿するという事件が起きました。決して許される行為ではありません。

②距離を取って

実際にどれくらい離れればライチョウのストレスにならないのでしょうか。登山道にライチョウが現れたときは、基本的には5m以上の距離をとりましょう。もしライチョウが近づいてきたときには、急に動くと驚かせてしまうので急に立ち上がったりせず見守ってください。多くの人で取り囲まないように注意し、ライチョウが動きたい方向に行けるよう配慮してください。

③ライチョウの表情に注意して

上記の数字は最低限の目安です。特にヒナを守るために母親はとても敏感です。ストレスを感じていると思われる行動を挙げますので、これらの行動が見られた場合にはライチョウから離れるようにしてください。ライチョウの表情がわかるようになったら、よりいっそうの信頼関係が築けるようになりますので、素敵な表情を見せてくれるはずです。

通常状態

時々顔を上げることがありますが、盛んに高山植物をついばんでいます。ハイマツの縁などで足を折りたたんで座っており、眠るような仕草をしていることもあります。ストレスがない状態です。

少しストレス

周囲を見渡す時間が長く、あたりをきょろきょろ確認しています。距離が近くないか、騒がしくないか、見物人が多くないかなどを考えましょう。

かなりのストレス

観察している際にライチョウと頻繁に目が合うと感じるとき。首をすくめて警戒声を出したり、メスが片翼を広げ、けがをしたように見せながら人に近づいてきたりする(偽傷行動という)ときなどです。今より距離を開けるようにしましょう。その時に、走ったりすることも厳禁です。ゆっくりとした行動をとるように心がけましょう。

【 観察&登山時の約束 】

①決められた道を歩く

禁止の立て札やロープが張られていなくても歩道以外は立ち入らないでください。例え撮影の時でも。

②ライチョウを見かけても追いかけない

ライチョウと距離をとり、彼らの行く手を阻まない。巣に戻れずに卵が冷えてしまうこともあるからです。

③高山植物は採らない

高山植物も氷河期の生き証人です。ここでしか育たない植物です。大切にしましょう。

⑤トイレは決められたところで

し尿に含まれた大腸菌などにより高山帯の動植物に影響を与えることがあります。

⑥登山靴の裏は完全にきれいにしてから入山

他山域の種子や雑菌を必ず落とすこと。

⑦春山登山

ライチョウが繁殖する大切な季節。ルール厳守。

岩の上で寛ぐライチョウ。ここには柵が造られているので、そこから中には入らずにライチョウを観察しましょう。声を荒げずに静かに対面すること。

衝撃的な写真ですが、あえて掲載します。サルもライチョウも人間の無責任な行動の被害者だということを忘れてはいけません。

厳冬期のライチョウ

登山道脇で休んでいたら、ライチョウが現れました。人間を怖がることのない雷鳥ならではの行動です。こうした光景が永遠に続くように登山者全員が努力しなければなりません。

巣から抱卵を中止して菜食に出てきたメスのライチョウ