【CONTENTS】ライチョウを探してみよう

どうしても「運」に頼るところが大きいですが、できることならお目にかかりたい。そんな時は以下の項目に注意しながら探してみましょう。これがライチョウの探し方のヒントです。

①鳴き声

ライチョウのオスは縄張りを主張したりするとき(主に5〜6月)によく鳴きます。鳴き方は色々ありますが「ゲー、ガッガー」のような、まるでカエルの鳴き声のような特徴があります。
ヒナを連れたメス(7〜9月)も、ヒナとコミュニケーションをとるために頻繁に鳴きます。メスはオスのけたたましい声とは異なり、「クークー」と優しく鳴きます。また、生まれたばかりのヒナはニワトリのヒヨコのように「ピヨピヨ」と絶えず鳴きますが、成長とともにあまり鳴かなくなります。
登山中も耳を澄ましてこれらの鳴き声がした時は周囲を見回して見ましょう。

②生活痕

ライチョウが生活していると色々な痕跡を残していきます。特にわかりやすいのがフンです。ライチョウのフンは一般的な鳥のフンとは異なり、ウサギの糞を細長くしたような形をしています。茶色い乾いたものは古いものですが、やや緑がかっていれば新鮮なものです。他に盲腸フンというどろっとした液状のフンもします。黒に近い濃い色のフンもあります。また、ライチョウはよく砂浴びをします。このように新鮮なフンや砂浴び跡などは最近までそこにライチョウがいた証となります。

③天気とライチョウの関係

晴天日に見つけやすいライチョウは、なわばり争いをするオス(5月〜6月上旬)とヒナを連れたメス(7〜9月、特に7月上旬〜8月中旬)です。
 ライチョウは天気が悪い時にしか見られないというイメージがありますが、そんなことはありません。例えば、なわばり争いが激しく行われる5月から6月上旬までは晴れている日に目立つ岩の上で見張りをしているライチョウをよく見かけることができます。またこの時期は、なわばりに進入したオスを追い払うためにあちこちでオス同士のけんかが起こり、空を飛ぶライチョウを比較的容易に観察できます。
 また、小さなヒナを連れたメスを観察するのも晴れた日の方が適しています。生まれたばかりの小さなヒナは悪天候に弱く、天気が悪いと寒くてほとんど動くことができないからです。
 雨天、曇天、ガスの中で見やすいライチョウは成鳥、特にオスや繁殖に失敗したメス(5月〜11月)。ライチョウは空から襲ってくる猛禽類を警戒しているため、視界が悪い時でも行動しています。特に7月から9月は、オスや繁殖に失敗したメスは天気が悪い日の方が発見しやすいです。

④ライチョウが見やすい時間帯

ライチョウが最も活発に活動するのは早朝と夕方です。朝は日の出から2〜3時間、夕方も日の入りまでの2〜3時間が最もライチョウを観察しやすい時間帯です。ご来光を見るために早朝登山した経験がある方は、日の出前に鳴くライチョウのオスの声を聞いたことがあるかもしれません。
 一方で正午前後はライチョウが休息していることが多く、なかなか見つけることができません。特に近年の晴れた夏の日は、いくら暖かい日が好きなヒナでも暑く感じるようで観察するのは困難でしょう。

立山の雷鳥坂。名称通りライチョウに会えるチャンスが多い登山道です。脇のハイマツ帯からひょっこりと現れることもあります。

立山剱沢の登山道。ハイマツ帯から出て親子で歩く姿を何度か目撃しています。

立山で登山道を歩いていたら、脇からヒナを連れたお母さんが現れました。ヒナたちを見守るようにして歩く姿が印象的。