3000m級の山々が連なる日本アルプスの山麓から高山まで、多種の野鳥が生息していて上高地においてはおよそ140種類の野鳥が記録されています。中でも特筆すべきは高山に住む絶滅に瀕しているライチョウやイヌワシです。
ライチョウは約2万年前に大陸から渡来し定住しましたが、今やその生息数は1800羽足らずといわれています。しかし立山連峰などに登ればその甲斐甲斐しい姿を間近に観るチャンスがあるでしょう。
多くの野鳥が日本アルプスで夏季に子育てをしています。さえずりをする野鳥や子育てに勤しむ野鳥たちの姿を間近で観られるのが、日本アルプスです。驚ろかせないようにそっと観察ください。
ライチョウ
特別天然記念物 絶滅危惧IB類
山を降りること無い純白の冬羽に変わったライチョウの姿を、冬季でも観ることができるのが日本アルプス周辺です。またお花畑で雛を連れている親鳥も日本ではこのあたりでしか見ることが叶いません。捕食者に襲われながら、健気に子育てしている姿は間違いなく日本アルプスに登山したあなただけが見られる特権です。
ライチョウ ショートストーリー
日本を代表する高山鳥で長野県・富山県・岐阜県のアルプスをまたぐ3県ではそれぞれで県鳥に指定されています。遥か2万年前の氷河期に日本へ渡ってきて、氷河が終わる頃に種の多くは大陸へと戻りましたが、残った一部が高山でその種をつないできたと言われています。
日本では平安時代より「らいの鳥」として歌に詠まれ、江戸時代以前の信仰登山者からは神の鳥として敬われていたようですが、明治期には狩猟対象として乱獲されてしまったようで、かのウオルター・ウエストンも狩猟して食べたと書き残しています。
乱獲だけではありませんが、明治以降その数が激減、現在は1700~1800羽程度が残っていると言われますが、地球温暖化の影響もあり絶滅が危惧されています。
イヌワシ
天然記念物、絶滅危惧IB類
なんと言っても日本アルプスを代表する猛禽類がイヌワシです。アルプスの山並みをバックに獲物目掛けて、急降下の猛攻撃する姿は、まさに巨鷲の呼び名に値します。現在、国内で150-200カップルしか生息していない絶滅危惧種です。
カヤクグリ
日本固有種
本州では中部以北の森林に生息しています。やはり亜高山のハイマツがその生息地です。イワヒバリほどは開けた場所に出てきませんが、ハイマツの藪の中などで小昆虫などを探している姿を見かけることがあるでしょう。冬季には低山に移動します。
イワヒバリ
地味な小鳥ですが夏季に高木限界より更に高い岩場で見ることができます。冬季は下界に降りてしまいますが、岩場の間を小昆虫などを求めてあなたの足元まで寄ってくるかもしれません。
ホシガラス
日本では四国以北の亜高山帯に生息するカケス大の小鳥です。松の実を嗜好し、ハイマツなどの実を食べています。実を蓄えることからその実が発芽し、スイスなどでは伐採された森が蘇った例があります。
オオアカゲラ
森の奥からタッキング音が聞こえてきたらそれはオオアカゲラが朽木で虫を探している音かもしれません。樹木に直径6−7cmの穴が空いていたら、オオアカゲラが開けた穴です。またキョッ、キョッという鳴き声も、よく聞こえるかもしれません。オスの成鳥には頭に赤い羽毛が生えています。
フクロウ
夜行性ですが森の奥でじっと昼間眠っている姿を見かけるかもしれません。高山には生息していませんが、山麓から亜高山帯の森で、夜間ネズミなどを、羽音もなく捕食しています。目を覚ましてあなたに気がついた時、首を270度くるりと見回すことがあっっても驚かないでください。フクロウは案外視野が狭いためです。
フクロウ 観察エリア
キバシリ
主に低山から亜高山帯の針葉樹林で見かけるかもしれません。数が少ないのでそれほど見かけることが多くないかもしれません。朽木の破片を蜘蛛の糸を繋いで、球場の巣を作って子育てしています。木に縦に止まって登ってゆく姿からこの名前がつけられました。
カッコウ
鳴き声から姿が見えなくても一発で存在がわかる鳥です。オオヨシキリに托卵(他の種類の巣に卵を産み付け育てさせること)することでも知られています。その際数合わせに一つ卵を持ち去るという、狡い習性を持っています。
オオルリ
夏季、高い木の上でピリリーと美しい声でさえずっている青い鳥が居たらオオルリに間違いないでしょう。渓流に近いところを好んで昆虫を捕っています。日本三鳴鳥(ウグイス、コマドリ)の一種です。日本に4月ころ南方から渡来し子育てをします。