鷲羽岳 登山ルート

裏銀座縦走ルート

①高瀬ダム~烏帽子小屋~真砂分岐~水晶岳~鷲羽岳~双六岳~千丈乗越~槍ヶ岳~横尾~上高地

技術レベル: C
体力レベル: 10
難易度: ★★★★★

ブナ立尾根の急登をクリアして裏銀座縦走コースへ。
憧れだけではなく、今年こそぜひ踏破してみたい縦走路

七倉山荘-高瀬ダムへの
アクセス

●登山データ

日程: 4泊5日 計画は余裕を持って行動しましょう。基本は朝早く山小屋を出て、宿泊予定の山小屋へ早く着くこと。

歩行時間: 32時間45分
(鷲羽岳まで:14時間20分、鷲羽岳から上高地まで:18時間25分)
歩行距離: 49.1 km
登り累積標高差: 4,614 m

:山荘情報
高瀬ダム

標高 1,270m

↓ 1時間50分

権太落シ

↓ 2時間10分

4番(三角点)

↓ 1時間20分

烏帽子小屋

標高 2,551m

↓ 1時間30分

三ッ岳

↓ 2時間

真砂分岐

標高 2,862m

↓ 2時間

↓ 40分

水晶岳

標高 2,986m

↓ 2時間20分

鷲羽岳

標高 2,924m

↓ 1時間

↓ 40分

三俣蓮華岳

↓ 1時間20分

双六岳

標高 2,860m

↓ 45分

双六小屋

↓ 2時間30分

左俣岳

↓ 1時間30分

千丈乗越

標高 2,720m

↓ 1時間30分

↓ 30分

槍ヶ岳

標高 3,179m

↓ 5時間20分

横尾

標高 1,620m

↓ 3時間10分

上高地

標高 1,500m

ルートガイド

■行程が長いので計画はしっかりと

高瀬川と黒部川の源流部に挟まれた峰々を繋いで歩く北アルプス
屈指の縦走路。最終的には槍ヶ岳に足跡を残す山旅です。さらに北
アルプスの中央部分を歩くダイナミックなコース設定が魅力。しか
し、全コース踏破には4泊ないし5泊が必要となるため、山行日だ
けでなく予備日も必要になりますが、ぜひ一度は歩いてもらいたい
コースであることに間違いはありません。

●1日目:高瀬ダム〜烏帽子小屋 5時間20分〜
 スタート地点は高瀬ダムになります。ダム手前の七倉温泉からは
一般車の乗入れが禁止されているため、七倉温泉からはタクシーを
利用することになります。所要時間は15分。この区間を歩くと1時
間30分ほどかかります。
 タクシーはダムの堰堤部分まで入ってくれるので、少し距離を稼
いだことになります。準備体操とザックの緩み、靴紐などを確認し
たら登山口に入ります。すぐに400mほどのトンネルを抜けて不動沢
吊橋を渡ります。さらにキャンプ場を抜けてダム湖の右側を進むと
吊橋に出ます。ここに水場があります。ブナ立尾根最後の水場です。
この先でブナ立尾根の登りが始ります。烏帽子小屋までは距離6,500
m。高低差は1,200mという道。登山の基本で300mの高低差を1時
間でクリアできるのが登りやすい山。という定義がありますが、高
低差1,200mを4時間30分で登る。ということは、それなりに厳しい。
ということが分かります。慌てず、急がず自分のペースを守ってク
リアすることを考えましょう。
 ブナ立尾根には要所に番号が示されています。12番から始まり、
稜線に乗った烏帽子小屋の0番へとカウントダウンされていきます。
登山道は整備されているので勾配以外は問題ありません。番号が減
っていくことを楽しみながら頑張りましょう。丸太の階段やハシゴ
が多い斜面をジグザグに登ります。
初日は烏帽子小屋に宿泊して疲れを取りましょう。

●2日目:烏帽子小屋〜野口五郎小屋 3時間30分〜
 翌日は早朝から歩き始めます。烏帽子小屋から野口五郎岳、水晶
岳を経て三俣山荘を目指します。裏銀座コースの名峰の数々を踏ん
で進む本格的な縦走コースです。油断せず、存分にその趣を堪能し
ましょう。
 烏帽子小屋のテントサイト脇を抜けて砂礫の道を進みます。足元
のコマクサや小さな花たちが見送ってくれます。三ッ岳の肩からピ
ークを巻くようにして進むと西峰とお花畑の分岐にでます。どちら
を進んでも大丈夫ですが、花崗岩が美しい西峰山頂を経由していき
ましょう。展望のいいエリアですが、風の強い日には注意が必要で
す。グループの場合はひとつに固まってクリアしましょう。やがて
左に小屋が見えてきます。野口五郎小屋です。2日目はここに宿泊
しましょう。(健脚で体力のある方は水晶小屋まで進む計画もあり
でしょう。水晶小屋までは通常3時間30分以上は余分にかかります)

●3日目:野口五郎小屋〜三俣山荘 7時間30分〜
 翌日は野口五郎岳の山頂を踏んで進みます。槍ヶ岳の展望に優れ
た山頂です。真砂岳から水晶岳の稜線が見えています。真砂岳山頂
を巻きながら下ります。さらに湯俣温泉へ下る竹村新道を左に分け、
右下に五郎池を俯瞰しながら進みます。好天ならとても気持ちのい
い稜線ですが、時々大きな岩に道が阻まれ歩きにくい個所がありま
すが、気を付けて歩けば問題はありません。
 地蔵が祀られた東沢乗越からは登り返すことになります。ヤセ尾
根なので注意しながら歩きましょう。やがて水晶小屋に着きます。
小屋の前にザックをデポして水晶岳を往復してきましょう。この山
は北アルプスの中央部に聳える山で、山頂からは北アルプスの多く
の山を眺めることができます。
 水晶小屋でザックをピックアップしたら先に進みます。40分ほど
でワリモ北分岐です。ここは高天原や雲ノ平、黒部五郎岳に向かう
要所となる場所です。いろいろな方向から来た登山者がすれ違う場
所でもあります。ここで左へ進んでワリモ岳に向かいます。わずか
に進んだ岩苔乗越の近くに水場があります。
 ワリモ北分岐からワリモ岳を経由して鷲羽岳に向かいます。登山
道はわずかにワリモ岳山頂を巻きますが、道標の脇から山頂に行く
ことができます。次に向かう鷲羽岳からの展望は良く、コバルトブ
ルーに輝く火口湖の鷲羽池の後方に形のいい槍ヶ岳の穂先が見えて
います。鷲羽岳からは眼下に見える三俣山荘へ下ります。今夜はこ
こに宿泊しましょう。(2日目水晶小屋まで行く計画の方は3日目
双六小屋が3泊目のめどとなります。水晶小屋から双六小屋は
6時間40分〜)

4日目:憧れの槍ヶ岳直下へ 7時間45分〜

 三俣山荘からテントサイトを抜けてしばらく登ります。三俣蓮華
岳の山頂直下で巻道が分かれますが、風が強くなければ本道を進み
ましょう。丸山を通過して双六岳で小休止。展望を楽しんだら、稜
線ルートを進んで双六小屋に向かいます。小屋の前からは西鎌尾根
を進んで槍ヶ岳を目指します。
(双六小屋から槍ヶ岳山荘は5時間30分〜)

 槍ヶ岳山荘宿泊手続きをして天気と自分の体力が大丈夫なら
槍ヶ岳の山頂をピストンしておきましょう。
槍ヶ岳山荘から槍の肩まで進みます。
そこが山頂へのスタート地点になります。基本的に登りと下りは別
ルートなので、擦れ違いに注意する必要はありませんが、中腹で登
山道が近くなるので注意しましょう。登りは肩の左から始まります。
岩に付けられた〇印や→に従って進みます。クサリやハシゴのない
場所では三点支持の姿勢を崩さないことが安全登山に繋がります。
短いハシゴの後、クサリ場が登場します。慎重にクリアしましょう。
最後に山頂に向かう少し長いハシゴの登りにかかります。ここは登
りと下りのハシゴが別なので、先行する人との間隔を取って進みま
す。落ち着いて行動すれば登りも下りも危険はありません。
 山頂は狭く切れ落ちているのであまり歩き回らない方が無難です。
ロケーションを満喫したら下山用のハシゴを下り、クサリ場を慎重
に歩いて槍ヶ山荘に戻ります。槍ヶ岳山荘に宿泊するなら、翌早朝
渋滞を覚悟して再び山頂に登ってみましょう。

下山は槍沢を下り、上高地へ向かいます。下りですが距離はたっぷり
あり時間もかかります。8時間30分〜
長い長い登山路お疲れ様となります。
それでも上高地へ戻ったとき一生忘れられない山旅となっているはずです。

(2019年初出)
(2024年改訂)