七倉尾根-読売新道ルート
七倉ダム~船窪岳~烏帽子岳~野口五郎岳~水晶岳~赤牛岳~黒部ダム
技術レベル: C
体力レベル: 10
難易度: ★★★★★
裏銀座縦走路と読売新道を歩く
黒部湖南部の名山を5泊6日で歩く贅沢な山歩きです。1日の最低歩行時間は6時間。最大歩行時間は8時間40分です。そのため上級者向けと設定しましたが、体力と時間のある人なら踏破できるはずです。北アルプスで人気のある裏銀座縦走路と読売新道を繋げて歩きます。きっと一生の思い出になるはずです。※船窪岳〜不動岳間は崩落が激しく注意
●登山データ
日程:5泊6日
歩行時間:36時間5分
歩行距離:48.4 km
高低差:5,470 m
ルートガイド
七倉ダムの登山口に建つ七倉山荘からその日の宿泊小屋、船窪小屋まで6時間です。このルートを地図で見ると等高線が詰まっている箇所に登山コースが造られています。つまり、それだけ勾配が強い。ということになります。無理せずに自分のペースを守って登ることを心がけましょう。登山口から道標に導かれるようにして、尾根道に取付きます。行き成りの急登です。展望はありません。2時間ほど頑張ると唐沢ノゾキといわれる平地に着きます。ここが休憩ポイントです。再び急勾配の道を進みます。露岩地帯や木の根が絡む登山道を登ることになります。長短のハシゴ登りが連続する場所が鼻突八丁といわれるエリア。ここを抜けて背丈の高い木々が少なくなると天狗の庭と呼ばれる台地に乗ります。眼下に高瀬ダムが広がり、烏帽子岳や野口五郎岳が見えています。天狗ノ庭から展望に優れた尾根道を40分登れば船窪小屋に到着します。
2日目は船窪小屋の裏手から、不動沢側の崩壊地を巻いて下り、船窪乗越で針ノ木谷への道を右に分けて進みます。かなりの急坂です。ハシゴやロープ代わりのワイヤーが張られたところです。船窪岳第2ピークの登りはかなりの急登なので、できるだけゆっくり登るようにしましょう。岩場も多くあるので、気持ちを集中させることが大切です。第2ピークを越えていったん下ったら、登り返します。その後、ロープやワイヤーが張られた箇所を抜けると悪場は終わります。針葉樹林帯を抜けると不動岳の登りにかかります。不動岳は南北に長い山頂を持っています。剱岳や立山の山並みが一望できる頂です。さらに稜線を進みます。南沢岳を越えると池塘が点在するエリアに入ります。烏帽子田圃といわれる場所です。ここを抜けると烏帽子岳分岐にでます。右に進んでクサリ場を通過すれば烏帽子岳山頂です。烏帽子岳から30分ほど下れば2日目の宿泊地、烏帽子小屋に到着します。左から登ってくるブナ立尾根は高瀬ダムからの登山道です。
烏帽子小屋からキャンプ場を抜けて鞍部まで下り、三ッ岳に向けて稜線を登り返します。山頂直下でようやく勾配は緩くなります。山頂を巻くようにして進むと、ハイマツが茂る道になります。前方に見えているのが野口五郎岳です。右手に赤牛岳や水晶岳の大きな山容が見えています。大きな岩塊地帯を抜ければ野口五郎小屋に到着します。ここから岩場をクリアすれば野口五郎岳の山頂です。山頂から砂礫の道を辿って真砂岳の西側をを歩くと真砂分岐に到着します。左の登山道は湯股温泉から登ってくる竹村新道です。真砂分岐を直進して緩やかにアップダウンを繰り返すと東沢乗越です。広い場所で休憩に適したところです。ここから少し急勾配の道になります。砂礫の道を40分ほど登れば水晶小屋です。3日目の夜はここで過ごしましょう。
水晶小屋が建つ分岐は鷲羽岳方面からの道が合流するところです。意外に歩く人の多い場所です。小屋はそれほど大きくないので、シーズン中は混雑します。テントサイトはありません。ここから水晶岳までは40分ほどの登りです。ゆるやかな登りから急登になると山頂に到着します。水晶岳の山頂は広くありません。岩塊の重なる頂ですが、展望は素晴しく360度の展望が楽しめます。時間の許す限り展望を楽しみましょう。水晶岳から読売新道を歩いて黒部湖にいきます。基本的に下りますが、足場の良くない箇所やガレ場、落石に注意しなければならない箇所の多い道です。水晶岳から平ノ渡場まで1,500mの標高差を下ります。
水晶岳からの下りは砂礫が堆積して、少し滑りやすい道が続きます。転倒などに注意しながら進みましょう。勾配が落ち着いてくると温泉沢ノ頭といわれるところにでます。高天ヶ原への道が左に分岐する地点です。展望に優れた尾根道を進みます。小さなピークをふたつ越えると赤牛岳の山頂に到着します。ここから右側の尾根道を下ります。ロープが張られていますので焦らずにゆっくり歩きましょう。前方に黒部湖が見えてきます。長い下り道です。適当に休憩しながら歩くようにしましょう。樹林帯に入ると木の根が露出した箇所や苔むした岩が混ざる下りになります。滑りやすい箇所です。クサリやハシゴをクリアしながら慎重に歩くようにしましょう。次第に安定した道になれば奥黒部ヒュッテに到着します。4日目の夜はここで過ごしましょう。
奥黒部ヒュッテから黒部川へ下る道の状況は、事前に奥黒部ヒュッテに問い合わせて確認することをおすすめします。途中に崩落個所がいくつかあり、ハシゴの登り下りの多い道です。十分に注意して歩いてください。平ノ渡場から渡船で平ノ小屋に渡ります。渡船できるのは6月20日~10月31日で1日4往復程度なので、事前に出発時刻を調べておきましょう。5日目は黒部湖を渡ったところにある平ノ小屋に宿泊します。万一、平ノ渡場からの最終に間に合わなければ、南沢出合方面へわずかに歩いたところに建つ避難小屋に宿泊して翌日の始発で渡船します。そのまま黒部ダムまで歩きます。
平ノ小屋から湖畔に沿って黒部ダムを目指します。黒部湖の眺めはいいのですが、ハシゴを頼ったり高巻く箇所がありますので気を抜くことはできません。広い河原を横切る時は、目印のテープを見失わないように気を付けましょう。ロッジくろよんの先で道が左に分岐しますが、そのまま進み黒部湖沿いの道を歩けば黒部湖ダムに到着します。ここから電気バスで扇沢駅に下りましょう。