後立山縦走ルート
白馬岳~唐松岳~五竜岳~鹿島槍ヶ岳~扇沢
技術レベル: D
体力レベル: 10
難易度: ★★★★
北アルプス北部の大縦走路を満喫する
日本百名山に挙げられる3つの名山、白馬岳から五竜岳、鹿島槍ヶ岳を縦走する3泊4日の山歩き。展望に優れた山旅が楽しめますが、唐松岳手前と鹿島槍ヶ岳手前の難所に注意が必要です。
●登山データ
日程:3泊4日ないし4泊5日(白馬岳から)
歩行時間:25時間35分
歩行距離:37km
登り累積標高差高低差:4,835m
ルートガイド
白馬岳までは1.白馬岳を参照してください。
白馬岳からの歩行時間は25時間を超えます。天狗山荘が工事のため2019年8月現在、テントサイトしか利用できないこともありますので唐松岳頂上山荘、キレット小屋、冷池山荘の順に宿泊して3泊4日の行程で歩くことになります。1日目と2日目の歩行時間が長くなりますので、出発時刻を極力早くしましょう。
白馬岳山頂から稜線を白馬鑓ヶ岳へ向かいます。気持ちのいい稜線歩きです。杓子岳を過ぎて白馬鑓ヶ岳に登ります。山頂に向かう途中でライチョウに出合えるかもしれません。展望のいい頂きで白馬岳を眺めたら、登山道を一気に降下して天狗尾根に入ります。天狗山荘を過ぎてしばらく行くと天狗ノ大下りに出ます。ここを過ぎると不帰キレットです。
不帰キレットからはクサリやハシゴの登下降が連続します。気持ちを引き締めてクリアしましょう。ヘルメットは要装着です。稜線伝いに一峰を越えると、二峰の大きな岩が立ちはだかります。指示通りにゆっくり登りましょう。危険な所にはクサリが張られていますので、頼るようにしましょう。アングルの橋を渡ってバンド状の狭い道を進みます。すれ違いは難しい場所なので、先方をよく確認しながら歩くように。二峰の頂は広いので休憩に適しています。ハイマツ帯を抜ければ三峰です。30分ほどで唐松岳山頂に到着します。ここに建つのが唐松岳頂上山荘です。
翌日は五竜岳に向けて稜線を進みます。稜線をひと登りして牛首ノ頭に立ちます。ここからナイフリッジを巻きながらの下りになります。クサリが張られていますが足元には要注意です。ザレた道を下ります。樹林帯が近づいてくると大黒岳手前の鞍部に到着。ここから信州側が切れた道を進みます。大黒岳を巻くようにして登り、ピークから下って鞍部に着きます。白岳の登りはジグザグを切っていくことになります。灌木帯からハイマツ帯に入ります。トラバース道をクリアすれば白岳です。頂上下の鞍部に建っているのが五竜山荘です。
五竜岳にはG2とかG4というピーク名があります。これはグラート(岩尾根)からきています。かつての開拓期の名残で、それが現在も使われています。ちなみにG3は五竜岳山頂にあたります。五竜山荘から広い稜線をわずかに進むと、黒部側を巻きながら登るようになります。浮石や落石に注意しながらペンキマークを頼りに登ります。不用意に踏跡に惑わされることのないように。頂上直下の鞍部に出ると眼下に安曇野平野の広がりを望むことができます。岩場を進み短いクサリを登れば頂稜です。山頂は右へ50mほどの所にあります。立山方面の展望を楽しんだら、キレット方面の道標まで戻り、G4へのジグザグの下りにかかります。岩が脆いので落石などを起こさないように。黒部側を巻き、岩峰を登るとG5といわれる小岩峰群のピークです。クサリを頼りにザレた道を下ります。赤い小さな岩壁を持つピークにぶつかります。ここはクサリから鉄ハシゴを登ります。しばらく進むと北尾根ノ頭に出ます。ここからゆるやかに下り、口ノ沢の鞍部に出ます。クサリ場を登り切り、岩峰をいくつか巻きながら下ります。危険な所にはクサリが張られています。やがて小さな小屋が見えてきます。ここがキレット小屋です。
キレット小屋から岩稜線を登ります。黒部側から信州側に戻ると、最大の難所キレットの通過に入ります。ハシゴを下り、木の桟橋をクサリに頼ってトラバースします。さらに黒部側のハシゴを下った地点がキレットの底になります。わずかに登り返し、ハイマツ帯に入ると悪場は終わります。さらに鹿島槍ヶ岳の北峰を巻くように登ります。やがて鹿島槍ヶ岳の南峰との鞍部吊尾根の北峰寄りに飛び出します。北峰はここにザックをデポして往復しましょう。
鹿島槍ヶ岳の北峰と南峰の間の吊尾根は高度感がありますが、危険はありません。南峰からは稜線をジグザグに下ります。お花畑からテントサイトを抜けると冷池山荘に到着します。
冷池山荘からは稜線を忠実に辿って爺ヶ岳に向かいます。危険な箇所はありませんが、ゆっくり歩きましょう。爺ヶ岳の北峰、中峰、南峰からは鹿島槍ヶ岳の迫力のある雄姿が眺められます。剱岳の姿にも心を奪われるよ
うです。中峰から40分ほどで種池山荘です。ここで休憩したら勾配のある柏原新道を下って扇沢に下山しましょう。