上高地ルート
①上高地~明神分岐~徳本峠小屋~ジャンクションピーク~K1~霞沢岳~徳本峠小屋~上高地
技術レベル: C
体力レベル: 5
難易度: ★★★
穂高連峰の展望に優れた霞沢岳。昔は八右ェ門沢を詰めて山頂に立つ以外にルートはありませんでした。そのため、一般登山者には難攻不落の山。といわれていた時代もあったようです。ところが、今では徳本峠からの登山道が整備され、エキスパートといわれる人でなくても登れるようになりました。徳本峠までは島々と上高地からの登山道がありますが、上高地から挑戦する人が多いようです。山頂から島々に下る道もありますが、8時間ほどかかるので、上高地に下る人が圧倒的に多いようです。
●登山データ
日程: 1泊2日
歩行時間:13時間30分
歩行距離:22.97㎞
累積標高差:1,902m
ルートガイド
上高地のバスターミナルから、梓川左岸沿いの道を明神に向かいます。河童橋の前を通り小梨平のキャンプ場を抜けて進みます。登山道ではなく遊歩道です。
上高地の雰囲気を楽しみながら歩きましょう。梓川は大きく蛇行しています。遊歩道もそれに従って延びています。深い原生林を歩きます。木の香りとひんやりした空気が心地よく感じられるはずです。左に尖った明神岳が見えてきます。宮川の流れを渡ったところが明神です。左に建つのが明神館。ここから左に入る道は穂高神社奥宮、明神池に繋がっています。
明神分岐をさらに直進すると右に入る道があります。ここが白沢出合で、徳本峠の入口になります。広い林道を白沢の流れに沿って歩きます。新緑や紅葉が美しい道です。1時間ほど歩くと林道は終点を迎え、左に続く登山道に入ります。水量の多い支沢を渡ると白沢から黒沢の右岸を登るようになります。上り勾配が強くなりますので、息が上がらない歩速で登るようにしましょう。上り勾配がかなり強くなってくると、大きくジグザグに登るようになります。林道の終点から1時間ほど登ってくると、何本か冷たい水が流れる沢と出合います。上り勾配がかなり厳しくなると最終の水場です。
最終の水場を過ぎると山腹を絡んで登るようになります。徳本峠へ800mの道標と出合います。ここを過ぎると、若干勾配は緩くなるようです。涸れた沢を回り込んだ先が霞沢岳への分岐点です。ここからひと登りすれば徳本峠です。今日はここに建つ徳本峠小屋に宿泊しましょう。
1泊2日の設定なので、翌日は早朝に出発します。2泊3日のスケージュールが組めるなら、山頂をピストンして徳本峠小屋にもう1泊しましょう。徳本峠小屋から山頂にかけての後半は悪路になります。出発時に天候が悪かったり、崩れそうなら潔く撤退することも考えましょう。
徳本峠から5分ほど下ると霞沢岳分岐です。ここから山腹を絡みながら主稜線を目指します。主稜線にでたら、ジャンクションピークへの登りにかかります。不規則にジグザグを繰り返しながら高度を稼ぎます。尾根の東面にでると八ヶ岳や中央アルプスの山並みが展望できます。西面の山腹に戻って高度を稼ぐと明神岳や穂高岳の展望に優れた場所にでます。ここはスタジオ・ジャンクションといわれるところです。高度感のある場所でもあります。この先できつい急坂が続きます。立ち休みを繰り返しながらクリアしましょう。大きく折り返して、小さな草原を抜ければジャンクションピークの山頂に到着します。少し南に歩いた地点に展望台があります。東側の展望に優れた頂です。
ジャンクションピークからはゆるやかに下ります。この辺りに左に続く踏跡がありますが、ここには踏み込まないこと。ルートを着実に歩きましょう。さらに下ります。小さな二重山稜が入り組む複雑な尾根道に入ります。小さな湿地を過ぎた先の鞍部から登りになります。穂高の山並みが見事なところです。軽くアップダウンを繰り返すようにして進みます。霞沢側の岩壁が崩れ、切れたところにでます。長い歩行時間で気が緩みがちになりますが、ここからが正念場です。気持ちを引き締めて進みましょう。
ハクサンフウロやマルバダケブキなどの高山植物に後押しされるようにして急坂を登ります。ここを越えるとゆるい尾根道を上下します。ハンノキの林を抜けると、いよいよクライマックスの急斜面を攻略することになります。
高度感のあるガレ場をトラバースして、溝状に掘れた道を一直線に登ります。三点支持の姿勢を余儀なくされる場所です。慎重に登りましょう。ここをクリアするとk1です。一気に展望が広がり、本州中部山岳地帯が一望できるピークです。ここから少し下って、長い登りを進みます。
霞沢側は切れ落ちているので、上高地側の稜線を辿りましょう。足下に上高地帝国ホテルが見えています。短い岩稜を越えればk2です。前方に霞沢岳の山頂部分が見えています。山頂直下で霞沢側の絡みながら登ります。ハクサンイチゲやシナノキンバイが美しい箇所です。南側から回り込むようにして霞沢岳の山頂に立ちます。山頂は360度の大展望。中部山岳地帯の高山がすべて見える。といっても過言ではありません。時間の許す限りのんびりしましょう。下山は上高地まで往路を戻ります。k1の下りには特に注意して歩きましょう。