【CONTENTS】ライチョウ観察のルール

ライチョウ優先に考えよう~動植物にこれ以上の影響がないように

乗鞍岳の雄大な自然の中にお邪魔して、ライチョウのいる世界に身を置ける環境をいつまでも。そんな場所を残せるように、私たちが歩けるルートがロープや木道で設けられています。決められた道を歩き、ライチョウや高山植物の生活エリアにこれ以上踏み入れないようにしましょう。

遊歩道をライチョウの家族が歩いていたり、砂浴びをしたりしていることもあります。私たちが急に動いたり、大声を出したりするとびっくりします。静かにそっと観察しましょう。歩道上もライチョウの生活エリアです。ライチョウを見つけたら少し距離をとって、通行や進行方向を邪魔しないようにしましょう。特に、産卵期の母鳥や育雛期のヒナへの妨害は、卵やヒナにとって致命的です。多くのライチョウは、私たちを恐れていませんが、観察や写真撮影のマナーが悪いと、人を警戒するようになってしまいます。

ライチョウは、国の特別天然記念物です。文化財保護法や種の保存法などによって守られています。
捕まえることも触ることも違法です。

ツキノワグマとの遭遇を避けるために

高山の生態系にお邪魔していることを忘れてはいけません。ツキノワグマやニホンカモシカなども生活しています。乗鞍岳には多くのツキノワグマが生息していて、目撃情報が常に掲示されています。クマが私たちを見つけて突然襲ってくることはありません。鈴をつけて歩き、私たちがいることを先に知らせながら、出くわさないようにしてください。ひと気の少ない場所や時間帯の単独行動には注意しましょう。

高山植物がライチョウを支えている

高山植物は、高山環境でしか育たない特有の植物です。ライチョウのえさや隠れ家、巣の材料になっています。高山植物と支えあっている昆虫も、ライチョウのえさになります。かわいくてきれいなお花は、この自然の中で楽しみましょう。とってよいのは写真だけ。


登山道を歩くライチョウ。立ち止まって静かに観察しよう。

ガイドがライチョウや他の動物の痕跡を発見。貴重な体験ができる。

出発前に天気の確認を

高山帯の天気・天候は変わりやすいので、事前によく確認しましょう。足場の悪い道や急な登り道も多くあります。怪しい天気の時は利用を避けましょう。乗鞍岳には、いくつかの山小屋や、登山道の途中にシェルターがありますが、限られています。万一の場合に備えて、場所を把握しておきましょう。

靴や衣服はきれいに

高山帯は、私たちが住む麓の世界とはまったく異なる環境です。そこにしかない生態系があります。靴底や衣服についた汚れを持ち込んではいけません。高山環境を汚染することになります。特に、靴底についた麓の植物の種子を無意識に持ち込むと、高山植物に悪影響があります。

ごみやトイレも

自分のごみは自分で持ち帰りましょう。風で飛ばされないように気をつけてください。私たちの食べ物を落としてそのままにしたり捨てたりしてしまうと、それを食べた動物に悪影響があるかもしれません。ライチョウの天敵となる動物を誘引することにつながるかもしれません。尿や便も事前に、決められた場所で済ませ、見えない菌やウイルス汚染にも気を付けましょう。


乗鞍岳はツキノワグマの生息地でもある。

高山植物採取禁止の看板。

お花畑の看板。ゆっくり鑑賞しよう。

厳冬期のライチョウ。
(写真:高橋 広平)