日本アルプスの高山蝶

高山蝶はその名のとおり、森林限界(森林が成立しない高度)より上部の高山帯に生息するチョウで、天気がよい日しか活動しません。
本州で高山蝶と呼ばれるのはミヤマシロチョウ、クモマツマキチョウ、ミヤマモンキチョウ、ベニヒカゲ、クモマベニヒカゲ、タカネヒカゲ、コヒオドシ、オオイチモンジ、タカネキマダラセセリの9種がいます。日本アルプスでは本州に住む全ての高山蝶が見られます。
高山蝶は昔、日本がもっと寒かった時代に本州に分布を拡げ、暖かくなって高山に取り残されたチョウです。
けれど定義は曖昧でオオイチモンジは森林帯に住んでいますし、クモマツマキチョウのように標高が1000m以下の地域でも見られる場所がある種もいます。

ミヤマモンキチョウ
準絶滅危惧

常念岳などの北アルプスの稜線に近い草原にいます。浅間山系では湯ノ丸などの標高2000m付近に多いようです。食草はクロマメノキ。食草の周りで多く見られます。年1回7月の発生で天気のよい日のみ活動する。天気が悪いと、まったく見ることができません。

ミヤマモンキチョウ 観察エリア

ミヤマシロチョウ
絶滅危惧ⅠB類

年1回7月の発生で、かっては上高地にも生息していましたが、今は絶滅してしまい見ることはできません。八ヶ岳にも生息しますが、絶滅が心配されています。南アルプスでもかっては後半に見られましたが、絶滅した場所も多いようです。ミヤマシロチョウは幼虫が集団で冬を越します。そのため保護される以前に乱獲されたことも大きいようです。

オオイチモンジ
絶滅危惧Ⅱ類

年1回7月の発生で、上高地など比較的標高の低い谷間などに住んでいます。上高地では比較的容易に見られ、北アルプス、南アルプス、八ヶ岳の標高1000m以上の場所に住んでいますが、上高地以外では数が少なく、なかなか出会えません。

タカネキマダラセセリ
絶滅危惧ⅠA類

北アルプスの岳沢と南アルプスの北岳で見られます。7月中旬から8月上旬に成虫が活動する。食草はイネ科のイワノガリヤス。岳沢ヒュッテ付近の草原でよく見られます。

タカネマダラセセリ 観察エリア

タカネヒカゲ
絶滅危惧ⅠA類

年1回7月から8月の発生で北アルプス双六岳、蝶ヶ岳、常念岳などの稜線に近いハイマツ帯に生息しています。八ヶ岳でも稜線に生息する場所があります。岩などにとまると見事な保護色で見つけるのは難しいようです。晴れた日はよく飛ぶので、とまったところを見てみましょう。
タカネヒカゲ 観察エリア

ヤリガタケシジミ
絶滅危惧Ⅱ類

北アルプス各地の沢などで見られる青色の美しいシジミチョウ。ヤリガタケシジミはアサマシジミの北アルプス亜種です。普通のアサマシジミより少し小さいのが普通です。食草は主にイワオウギ。年1回7月の発生。

クモマツマキチョウ
絶滅危惧Ⅱ類

年1回7月末から8月の発生。北アルプス、妙高、戸隠、南アルプス、八ヶ岳の標高が1500m以上の沢筋にいますが、1000m以下の場所にも生息するところもあります。食草はミヤマハタザオなど。扇沢は比較的容易にこのチョウが見られるので、写真を撮りに来る人も多いようです。
クモマツマキチヨウ 観察エリア

ベニヒカゲ
準絶滅危惧

高山蝶の中では最も分布が広く、普通に見られます。また最も遅く現れる高山蝶で、8月中旬から下旬に多いようです。アルプス全域、八ヶ岳、浅間山系、東北地方などの標高1500m〜2000m付近に多い。北海道では低山帯のチョウになります。

コヒオドシ

年1回7月下旬に羽化し、成虫で冬を越す。各地の標高1500m付近で8月と翌年5月に越冬から覚めたチョウに会うことがある。花に良く飛来します。春のものは、翅が汚れていてあまり綺麗ではありません。

クモマベニヒカゲ 準絶滅危惧

南アルプス、中央アルプス、北アルプス、八ヶ岳の標高2000mを超える草原に多いようです。高山蝶の中では出会いやすい種だ。7月下旬から8月に高山のお花畑の花を注意してみれば出会うことができます。