上高地ルート
①上高地~田代橋~登山口~焼岳小屋~焼岳(北峰)~焼岳小屋~登山口~上高地
技術レベル: C
体力レベル: 3
難易度: ★★
荒々しい岩肌と噴煙が特徴の山。
路線バスで上高地エリアに入った時、最初に目に飛び込んでくるのが荒々しい山肌の焼岳。誰もが登攀意欲が掻き立てられる瞬間です。
2024年火山活動が活発になりつつあります。警戒レベルは1で登山は可能ですがヘルメットは必ずご持参ください。
上高地へのアクセス
●登山データ
日程: 日帰り
歩行時間: 6時間50分(登り: 3時間55分、下り: 2時間55分)
歩行距離: 12.7 ㎞
登り累積標高差: 1,189 m
ルートガイド
上高地バスターミナルから梓川沿いを河童橋方面へ。振り返ると梓川の先に目指す焼岳が見えています。大きな山体です。上高地にバスで入る時、真っ先に見えるのが焼岳で登攀意欲を掻き立てられます。この山は1952(昭和27)年の爆発以来、1990(平成2)年11月の規制緩和まで入山が禁止されていました。北アルプス唯一の活火山で、現在でも火山活動は続いています。そのため山頂(南峰)から噴煙がが上がっているのが確認できます。日帰りで登ることのできる北アルプスを代表する山です。
観光客で賑う河童橋を渡って左へ進みます。宿泊施設が並ぶエリアです。すぐに※ウェストン碑の前を通過します。その先にあるのが西穂高岳登山口。そこから5分ほど道なりに歩いた所が焼岳の登山口です。ここからササの茂る道に入ります。すぐに白樺やシラビソが観られる林に入ります。平坦で柔らかい日差しが心地いい道です。20分ほど歩くと小さな沢を渡ります。ここを境にして登山道は上りになります。最初は緩やかですが1時間ほど登り、標高が1,700mを越えると岩が見られるようになります。小さな流れを小橋で渡ると長短のハシゴをクリアすることになります。最後に10mほどのハシゴを登った後にクサリを頼りの岩場を登ることになりますが、危険を感じるのはここだけです。紹介ルートはピストンなので下る場合のイメージを作っておくといいかもしれません。
ハシゴエリアが終わると、ササに覆われた斜面を大きくジグザグに登るようになります。次第に傾斜がきつくなってきます。疲れたら立ち休みを繰り返して頑張りましょう。焼岳までの歩数が書かれた大岩が現れると勾配は安定し、正面に緑色の屋根の小屋が見えてきます。そこが焼岳小屋です。建物の前にベンチがあるので、しばらく休憩していきましょう。家庭的な雰囲気の山小屋です。
焼岳小屋から一段登ったところが展望台です。正面にゴツゴツとした焼岳の全容を観ることができます。展望台の先で斜面を下ります。下りきったところが中尾峠です。「焼岳山頂までは浮石や落石があるので十分注意」と書かれた看板に驚ろかされますが、ゆっくりと注意しながら進めば問題はありません。
正面上方に山頂一帯は見えているのですが、直登ルートはなく大きく左から回り込むようにして高度を稼ぎます。傍らの岩にペンキマークが描かれているので見落とさないこと。基本的には岩と岩の間のガレた部分を登ることになります。足元は土とガレ、ザレが複雑にミックスされています。前方にも後方にも多くの登山者が歩いています。午後ならそれに下山する人も加わるので、結構混雑することがあります。「登り優先」という山の定義がありますが、ここでは臨機応変に行動した方が危険回避に繋がります。
岩のマーキングに従って登っていくと大きな岩が転がるエリアに入ります。山頂に近いエリアに入った。ということです。肩の部分までくると、左から中の湯温泉からの登山道と合流します。上方に噴煙が見えてきます。山頂下の噴気孔から排出される煙で、焼岳が活火山という証です。
ここからひと登りで焼岳山頂です。辿り着いたのは北峰。南峰は立ち入り禁止になっています。北峰山頂は小広く穂高連峰や霞沢岳、常念岳が眺められます。お弁当を広げてゆっくりしたいのですが、硫黄の臭気が漂ってきたら早々に下山しましょう。下山は往路を忠実に戻ること。中尾峠までは下り一辺倒なので転倒しないように、ゆっくり歩くことを心がけましょう。焼岳小屋からの斜面下りは疲れた体に堪えるので、その前に小屋の前で十分休みましょう。登った時にクリアしたハシゴはすべて下ることになるので、より慎重に歩きましょう。
※イギリス人宣教師のウォルター・ウェストンは、日本アルプスを世界に紹介した人物で「日本近代登山の父」といわれています。その功績に敬意を表する祭りとして、毎年6月の第一土・日に夏山シーズン到来を告げる「ウェストン祭」が上高地で開催されます。