剱岳 登山ルート

剣沢-水平歩道ルート

室堂~別山乗越~剱澤小屋~長次郎谷出合~真砂沢ロッジ~仙人池ヒュッテ~阿曽原温泉小屋~欅平

技術レベル: E
体力レベル: 5
難易度: ★★★★

一度は訪れたい裏剱の展望ルートを歩く

立山の山々や剱岳に登った経験者に向けたコース。剱岳を裏から眺めると、また違った山容に出合うことができます。歩を進めるたび、刻々と表情を変える姿に驚き、感動が繰り返されるはずです。水平歩道は黒部ダム工事の時に開拓されました。前人未踏のダム工事を成し遂げた人たちの情熱が伝わってくる道です。

室堂へのアクセス

宇奈月温泉へのアクセス

●登山データ

日程:2泊3日
歩行時間:20時間35分
歩行距離:29.4km
登り累積標高差:796m(下り累積標高:1,578m)

:山荘情報
室堂

標高 2,420m

↓ 2時間45分

別山乗越

標高 2,750m

↓ 50分

剱澤小屋

標高 2,400m

↓ 1時間15分

長次郎谷出合

標高 2,082m

↓ 35分

真砂沢ロッジ

標高 1,780m

↓ 4時間5分

仙人池ヒュッテ

標高 2,100m

↓ 5時間50分

阿曽原温泉小屋

標高 860m

↓ 5時間15分

欅平

標高 590m

ルートガイド

立山黒部アルペンルートの室堂ターミナルがスタート地点になります。ターミナル前に湧く玉殿湧水で給水してから出発します。ミクリガ池方面へ遊歩道を進みます。ミクリガ池の穏やかな湖面の後方には、雄山から北に延びる尾根を眺めながら進みます。左にあるのが、みくりが池温泉です。エンマ台を過ぎ、左下にリンドウ池を眺めながら進みます。らいちょう温泉雷鳥荘、雷鳥沢ヒュッテの前を通ると雷鳥沢キャンプ場に入ります。広く、平坦な幕場です。ここを抜けて雷鳥坂の登りにかかります。急勾配の坂道ですが、展望に優れていて左上に奥大日岳、右には雄山から別山に向かう稜線が見えています。また、後方には龍王岳から浄土山の展望が広がっています。坂道は大きく左に曲がり、浮石に注意しながら登ると小さくジグザグを繰り返しながら登るようになります。ハクサンイチゲやシナノキンバイといった高山植物が足元を飾ってくれます。踏まないように注意して進みましょう。上方に石垣のような物が見えてきたらそこが別山乗越です。傍らに建つのが剱御前小屋です。剱岳に登る場合の前線基地としても利用される小屋です。小屋の前には登山者用のバイオトイレが設置されています。ここから正面に剱岳を眺めながら、斜面を下って剱沢に下ります。40分ほどで剱沢のキャンプ場に到着します。多くの登山者が明日のアタックに備え、思い思いに剱岳と対話する場所です。カラフルなテントの間を縫うようにして下ると剱澤小屋に到着します。当然、剱岳の展望に優れた小屋です。この先から日本三大雪渓のひとつに挙げられる剱沢雪渓に入ります。ちなみに日本三大雪渓とは白馬大雪渓、針ノ木大雪渓と剱沢大雪渓のことです。アイゼンをしっかりと装着して下ります。クレパスには注意しましょう。長次郎谷出合で左岸に渡ります。落石に注意しながら35分ほど下れば真砂沢ロッジです。今日はここに宿泊します。翌日は阿曽原温泉小屋まで10時間ほどの行程になりますので、夜明けには出発しましょう。

真砂沢ロッジからしばらく歩くと、仙人池方面と内蔵助平方面に向かう道が分岐する地点にでます。ここは左へ本流部分を下ることになります。細かくクサリやハシゴを使ったアップダウンが続きますので、慎重に行動しましょう。広い河原に下り立ちますが、増水時には注意してください。すぐに二股吊橋です。大きな近藤岩を眺めながらひと息入れましょう。

ここから仙人新道の登りが始まります。長い登りが続きますが、焦らずにゆっくり歩くことを考えましょう。視界が開けてくると氷河の三ノ窓雪渓が見えてきます。展望を楽しむ時は必ず立ち止まってからにしましょう。仙人峠の分岐から木道を辿って仙人池ヒュッテに向かいます。ヒュッテの前にはサンショウウオで知られる仙人池があります。まさに秘境といえるロケーションが広がります。ここから仙人谷に下ります。下り勾配が強いので滑らないように注意しましょう。とくに谷側は滑落注意箇所が続きます。橋を渡ったところが仙人温泉小屋です。手前から湯けむりが見えるはずです。ここを過ぎると雲切新道に入ります。長い下りの始まりです。ロープが張られた箇所が続き、ハシゴをクリアしなければならない箇所が続きます。緊張感をもって歩きましょう。仙人ダムまで下るとその施設内を通って、関電人見平宿舎の前を通過します。

阿曽原温泉小屋に向けての登りが始まります。ダム建設時、高温の岩盤のためにトンネル工事が難航した辺りです。この難工事を題材にした小説『高熱隧道』は有名です。現在でも湯が湧き出ていて、その湯は阿曽原温泉小屋の露天風呂に満たされています。今夜はこの阿曽原温泉小屋でのんびりしましょう。

3日目は阿曽原温泉小屋から欅平まで5時間ほど歩くことになります。水平歩道といわれる道が続きます。登り下りはありますが、極端な勾配はありません。阿曽原温泉小屋と欅平の高低差は約270mです。黒部渓谷の断崖絶壁にコの字型にくり抜かれた空間に造られた道を進みます。道幅の狭い箇所では幅は70㎝ほどしかないので、滑落には注意が必要です。途中には岩盤に開けられたトンネルが3本ほどあります。必ずヘッドライトを点灯させるようにしましょう。3本目のトンネルを抜ければ2時間弱で欅平に到着します。ここから黒部峡谷鉄道で宇奈月温泉駅に向かいます。