王滝口ルート
④田の原登山口〜遙拝所〜大江権現〜八合目〜九合目〜王滝頂上〜剣ヶ峰〜田の原登山口
技術レベル: B
体力レベル: 2
難易度: ★
2023年7月末、9年ぶりに開通した王滝口ルートからの剣ヶ峰。
慰霊の気持ちで登りましょう。
またルート上は飲料水など一切販売されていませんので、
充分に準備した上で登ってください。
※ヘルメットは必ず持参し、八合目からは着用してください。
●登山データ
日程: 日帰りないし1泊
歩行時間: 5時間35分(登り: 3時間10分、下り: 2時間25分)
歩行距離: 約3.5 km
登り累積標高差: +882 m −19 m
ルートガイド
御嶽山の最短距離ルート田の原登山口から王滝頂上、八丁ダルミを経て剣ヶ峰に登る王滝口ルート。2023年7月末、9年ぶりに直登ルートが登れるようになりました。元々は黒沢口ルートと並び江戸時代から庶民の信仰登山として登拝されたルートですが、ご存じの通り2014年9月の噴火以来直登はできず、噴火で犠牲となった54名の内、実に8割の方がこのルート上で亡くなられたり、今なお行方不明の方もいらっしゃいます。同じ山を愛する人として、登山は慰霊の気持ちを持って登りましょう。
余裕があればまず王滝村にある御嶽神社里宮に立寄り、安全を祈願してから登山口に向かいます。途中霊神碑と呼ばれる石柱を数多く目にしますが、御嶽信仰の信者の方が死後御嶽に戻ってくる場所と言われているそうです。
登山口となっている田の原には噴火遺構の展示がされているビジターセンターもありますので、そちらへ立ち寄り、噴火の教訓を確認したら、御嶽神社の鳥居をくぐり、登山道へ入っていきます。15分ほど歩くと右手に御嶽神社の遙拝所があります。神棚の奥にご神体として見える御嶽山を遙拝をして、登山の無事を祈りましょう。その先大江権現の鳥居からが実質的な登山となります。途中随所に見える鳥居や祠・神仏像はこの道が本来どういう目的で作られたのかを教えてくれます。遙拝所から1時間ほど歩くと八合目避難小屋。森林限界を超え、上を見上げるとルート上に人が重なり、九合目や王滝頂上にある建物なども確認でき、さながら富士登山に似た、独立峰ならでは風景となります。
ここからはヘルメットを着用して臨みましょう。ルートは核心部に入り急登となる正念場。標高も確実に上がっています。水分を摂取し、息を整えながら無理をせずゆっくり登って行くと、1時間足らずで九合目。更に急登を粘り強く40分ほど登ると王滝頂上へたどり着きます。以前もここまでは登って来られました。ここは御嶽神社頂上奥社となっています。王滝口のルート上には山小屋などは無く、飲料水など一切販売されていません。ルート上にある水場も水枯の可能性がありますので、水分などは充分に準備した上で登ってください。ヘルメットは必ず持参し、八合目からは着用してください。
そしてここからが噴火で多くの方が犠牲となった八丁ダルミです。風向きによって硫黄の匂いがして、通行できるようになったとは言え、ここが火山の噴火口から目と鼻の先にあることを思い出させてくれます。荒寥とした火山地形の途中2ヶ所にシェルターが設置されていました。自然災害は本当に予測不能、亡くなった方の想いが込められている万一のための安全設備ですが、一番の想いはこの設備が使われないことに違いありません。
30分足らずで剣ヶ峰の山頂に着きます。二の池や賽の河原を眼下にするのをはじめ、ここからは中央アルプスをはじめ、北アルプス、南アルプスも臨める絶景を堪能できます。帰路は同じルートを下りますが、二の池には二つの宿泊施設、他にも黒沢口や小坂口にも山小屋があり、1泊してご来光を見る事もお勧めです。