北八ヶ岳縦走ルート
③北八ヶ岳ロープウエイ山頂駅~北横岳~縞枯岳~麦草峠~白駒池~ニュウ~中山峠~東天狗~西天狗~しらびそ小屋~稲子湯
技術レベル: C
体力レベル: 5
難易度: ★★★
北八ヶ岳縦走、豊かな森を歩く極上コース
スタート地点はロープウェイの山頂駅。ここから北八ヶ岳の核心部分を縦走します。池、苔、深い樹林帯など南八ヶ岳とは違った魅力がそこかしこに散りばめられた珠玉のコースです。行程は2泊3日と設定しましたが、健脚者なら1日で中山峠から5分のところに建つ黒百合ヒュッテまでいけるはずです。その時は2日目に天狗岳をピストンして稲子湯に下山しましょう。
●登山データ
日程: 1泊2日もしくは2泊3日
歩行時間: 14時間00分
(1日目山頂駅~白駒荘6時間10分、2日目白駒荘~天狗岳~黒百合ヒュッテ4時間35分、3日目黒百合ヒュッテ~稲子湯3時間15分)
歩行距離: 15.5 ㎞
登り累積標高差: 1,496 m
ルートガイド
北八ヶ岳ロープウェイ山頂駅がスタート地点になります。
コメツガやハイマツなどの低木と溶岩による独特の雰囲気が漂うところです。一方通行の遊歩道を進みます。第一、第二休憩所を過ぎ北横岳方面へ進みます。坪庭全体が見渡せる場所を過ぎ、坪庭探勝路の中間地点を過ぎます。北横岳まで60分の道標を過ぎてしばらくいくと、木道に入ります。水平歩行から登り勾配のある道になります。小さく右左折を繰り返しながら登ります。岩の上を歩くようになると、道幅が狭くなります。
このエリアを抜けると展望が開けてきます。後方に山頂駅の建物が見えてきます。木の階段を登るようになると北横岳と三ッ岳の分岐にでます。ここを左へ。コメツガなどの低木が茂る道を登ります。5分ほどで北横岳ヒュッテに到着します。
さらに狭い道を進むと視界が開けます。まもなく北横岳山頂です。ここは南北ふたつのピークを持っています。南峰、北峰の順に山頂に立ちます。どちらのピークも広く、北アルプスや南アルプス、南八ヶ岳の展望に優れています。眼下に見えているのが七ッ池です。特徴的なフォルムの蓼科山が見えています。
展望を楽しんだら往路を戻ります。三ッ岳への分岐で、山頂駅に下る道を右に見送り直進します。三ッ岳へ向かう分岐には軽装での入山を自粛する旨の看板が立てられています。大きな岩が折り重なるハイマツの道を進みます。岩に付けられたマークに従いましょう。三ッ岳の山頂は3つに分かれています。短いクサリ場を登って三峰から二峰へ。さらに一峰へ。足下は岩場なので注意しましょう。
三ッ峰から雨池山に向かいます。一峰から岩の多い急坂を下ります。土の部分もあるので、なるべく土の上を歩きましょう。ササが茂る道になると立ち枯れした木々が目立つようになります。北八ヶ岳らしい風景が広がるエリアです。再び岩の多い道を登るようになります。この先のピークから少し下ったところが雨池峠です。岩の転がるところで休憩に適しています。
雨池峠から岩の多い道を登ります。40分ほどで縞枯山の山頂です。立ち枯れした木々や枯れた倒木が目立ち、遠くからだと縞状の模様に見えます。これを縞枯現象といいます。シラビソやオオシラビソの優先林に限って見られるもので、そのメカニズムは解明されていないようです。
縞枯山から5分ほど下ると展望台です。2,386mの高地から眺めると天狗岳や麦草峠方面のロケーションが広がっています。ここから茶臼岳を目指します。北アルプスや南アルプス、南八ヶ岳の展望に優れた山頂です。茶臼山から稜線に戻って滑りやすい直線的な道を下ります。展望のいい中小場を通り、ササに覆われた大石峠に下ります。大石峠から樹林帯に延びる木道を歩きます。まっすぐ下れば麦草峠です。麦草峠には国道299号線が通っています。標高は2,127m。国内で2番目に高い峠を越える国道です。ちなみに国内1位は群馬・長野県境を走る国道292号線の渋峠で標高は2,172mです。アルペン的な雰囲気の麦草ヒュッテが建っています。
麦草峠から草原に延びる道を進みます。35分ほどで白駒荘が見えてきます。その前に広がるのが白駒池。北八ヶ岳を象徴する湖です。今夜はこの白駒荘に宿泊します。北欧風の雰囲気が伝わる山荘です。
翌日は白駒荘から湖畔に造られた木道を歩きます。白駒湿原を樹林帯を登ればにゅうに到着します。巨岩で組まれたような岩山が「にゅう」です。ここから樹林帯を歩きます。苔むした登山道はいかにも北八ヶ岳。というイメージです。滑らないように注意しながら進むと中山峠に到着します。ここは十字路のようになっていて直進すれば天狗岳、右にいくと黒百合ヒュッテです。左はしらびそ小屋から稲子湯にでる道です。まず、直進して東天狗岳に登ってみましょう。
中山峠から樹林帯を進み岩場に入ります。まだ、南八ヶ岳の雰囲気が残ったエリアです。天狗岳の北側を北八ヶ岳、南側を南八ヶ岳と区別していますが、ここにくるとそのことがよく分かります。崩壊が迫ってくるところもあるので、注意しながら登りましょう。急勾配の岩場を越えると山頂は目の前です。振り返ると、北八ヶ岳の緑の絨毯が広がっています。東天狗岳は小さ広い台地。目の前に根石岳から赤岳、阿弥陀岳に続く稜線が見えています。ここから東天狗岳の双耳峰、西天狗岳に向かいましょう。岩稜線を下って登り返せば西天狗岳です。東天狗岳よりもはるかに広い山頂です。展望も東天狗岳と同様です。展望を楽しんだら東天狗岳に戻ります。
東天狗岳から中山峠方面へ往路をわずかに下ります。岩礫に足を取られないように注意しながら歩きましょう。分岐点にでたら左の道を下りましょう。相変わらずの岩場下りですが、下り着いたところに建つ黒百合ヒュッテが2日目の宿になります。黒百合ヒュッテは年中無休で営業する小屋。厳冬期でも多くの人が訪れています。夏になると小屋の周囲にクロユリが咲くことから黒百合ヒュッテ。と名付けられたそうです。
3日目は黒百合ヒュッテから南東へ5分ほど歩くと、昨日通った中山峠にでます。ここから樹林帯の中をしらびそ小屋方面へ向かいます。あまり展望には恵まれない道です。本沢温泉に向かう分岐を右に見ながら進めばしらびそ小屋です。ここでしばらく休憩したら、稲子湯に向かいます。昔、トロッコが走った名残りのレールが見られる道です。こまどり沢の清流が心地よく感じられるはずです。しらびそ小屋から1時間ほどで稲子湯に到着します。