祖母谷ルート
唐松岳~餓鬼山~祖母谷温泉~欅平駅
技術レベル: D
体力レベル: 5
難易度: ★★★★
黒部渓谷の欅平へ下るロングトレイル
上級者向けの縦走コースです。歩行時間を9時間10分と設定しましたが、これはあくまでも北アルプス縦走に慣れた人向けの時間です。経験の差が大きくでるルートでもあるため、途中の餓鬼山避難小屋を上手に利用することを考えましょう。※黒部峡谷鉄道は2024年営業期間において、猫又駅〜欅平間が不通となっています。祖母谷温泉へ下山しても徒歩で宇奈月温泉方面には歩けませんのでご注意下さい。事実上祖母谷温泉へのルートは閉鎖です。こちらを下ることはお止めください。
●登山データ
日程:1泊2日
歩行時間:9時間10分
歩行距離:15km / 19.4km(八方から)
高低差:2,020m
登り累積標高差:1,649m(八方から)
ルートガイド
唐松岳山頂までは八方尾根ルートを参照してください。
唐松岳から1泊2日の設定ですが、上級者ならその日の内に欅平まで下山することは可能ですが、欅平駅から宇奈月温泉に下る黒部峡谷鉄道の最終時刻は16時43分(2020年現在)なので、唐松岳頂上山荘を6時前にはスタートしないとその日の内に宇奈月温泉まで下ることはできません。経験者でも非常に長いコースなので、無理せずに1泊で欅平まで下るようにしましょう。
唐松岳頂上山荘から、テントサイトを抜けて斜面を横切るようにして下ります。ここから大黒銅山跡まではかなりの急勾配の下りです。目安時間は2時間、逆に大黒銅山跡から唐松岳山頂までは3時間の上りになります。下る時間と登る時間を比較してもその勾配の強さが想像できます。基本的に道はガレています。随所にクサリが張られているので利用しましょう。とくに残雪時には気を付けたい場所です。このエリアを抜けると樹林帯に入ります。ガレの雰囲気も一変してジグザグに下るようになります。「馬鹿下り」というネーミングが付けられた下りです。ここを抜けると木道を歩くようになり、左に下る道との分岐に着きます。ここを進むと水場があります。往復で20分ほどです。ザックをデポして汲みにいきましょう。
この水場への分岐を過ぎれば大黒銅山跡です。明治時代末期、餓鬼谷の五竜側から採掘した銅をここで精錬した跡地です。その名残の石が転がっています。精錬された銅は牛の背に括り付けて八方尾根や二本松尾根を使って下したそうです。この銅山跡からはヤセ尾根を登ることになります。急な道なので、呼吸を整えながら歩きましょう。途中にロープやハシゴが設置されていますが、苦労することなくクリアできるはずです。辿り着いた餓鬼山は灌木に囲まれています。しかし、鹿島槍ヶ岳や唐松岳、白馬岳、五竜岳などが展望できます。少しだけ時間を取って展望を楽しみましょう。
餓鬼山からもヤセ尾根歩きが続きます。ただし、ここからは下りになります。足場の悪い箇所を過ぎて針葉樹林に入ると、餓鬼山避難小屋に到着します。ここに宿泊するか、さらに3時間30分下って祖母谷温泉に泊まるかを遅くてもここで判断しましょう。ただし、焦りは禁物。餓鬼山避難小屋到着が昼過ぎなら、ここで一泊しましょう。
餓鬼山避難小屋からは比較的ゆるやかな下りになります。コメツガの大木が印象的な餓鬼ノ田圃にでます。湿地帯ですが木道などは敷かれていませんので、ルートから外れないようにしましょう。ブナ林を抜けると南越峠に着きます。ここでロープを頼りにして下ることになります。危険はありませんが、尾根道から外れたことが分かります。滑りやすい道なので注意しましょう。「四十八曲り」といわれるジグザグの道に入ります。水場の標識がありますが、涸れていることも多いようです。沢に沿った林道を歩くようになれば祖母谷温泉に到着です。
祖母谷温泉から黒部峡谷鉄道の欅平駅までは40分ほど。林道をゆるやかに下ることになります。