日本アルプスの難易度

登山のグレーディング①

基準となる技術レベルと体力レベル:長野県「信州山のグレーディング」より

技術レベル A B C D E
登山道
  • 概ね整備済
  • 転んだ場合でも転落・滑落の可 能性は低い。
  • 道迷いの心配は少ない。
  • 沢、崖、場所により雪渓などを 通過
  • 急な登下降がある。
  • 道が分かりにくい所がある。
  • 転んだ場合の転落・滑落事故につながる場所がある。
  • ハシゴ・くさり場、また、場所 により雪渓や渡渉箇所がある。
  • ミスをすると転落・滑落などの 事故になる場所がある。
  • 案内標識が不十分な箇所も含まれる。
  • 厳しい岩稜や不安定なガレ場、 ハシゴ・くさり場、藪漕ぎを必要とする箇所、場所により雪渓や渡渉箇所がある。
  • 手を使う急な登下降がある。
  • ハシゴ・くさり場や案内標識などの人工的な補助は限定的で、転落・滑落の危険箇所が多い。
  • 緊張を強いられる厳しい岩稜の登下降が続き、転落・滑落の危険箇所が連続する。
  • 深い藪漕ぎを必要とする箇所が連続する場合がある。
技術・能力
  • 登山の装備が必要
  • 登山経験が必要
  • 地図読み能力があることが望ま しい。
  • 地図読み能力、ハシゴ・くさり 場などを通過できる身体能力が 必要
  • 地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要
  • ルートファインディングの技術が必要
  • 地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要
  • ルートファインディングの技術、高度な判断力が必要
  • 登山者によってはロープを使わないと危険な場所もある

〇地図読み能力とは 「地図を見て自分の位置を知ることができ、目的地へのルートを識別できる能力」
〇ルートファインディングとは 「登山道のついていないところ、また分かりづらいところで、一番安全に通過できるルートを識別すること」
〇藪漕ぎとは 「笹や低木などが密生する藪を手でかき分けながら進むこと」

体力レベル 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
日帰りが可能 1泊以上が必要 1〜2泊以上が適当 2〜3泊以上が適当

<注意事項>
体力度4(1泊以上が適当)の山で、ルート中に宿泊できる小屋やテント場が無く、登山者によっては日没までに下山できなくなる恐れのある山がありますのでご注意ください。
体力度3(日帰りが可能)の山で、登山口までのアクセスに時間を要するため、日帰りが困難な場合があります。その場合宿泊を前提にした計画をお勧めします。
火山またはその周辺の山があります。登山前に火山情報を確認しその指示にしたがってください。

登山のグレーディング②

登山ルート定数: 鹿屋体育大学山本正嘉教授の研究による「エネルギー定数」より

事例:白馬岳 大雪渓ルート  体力度4技術度C 難易度★★★

1.8×行動時間11.5(h)=20.7 +[(0.3×移動距離15.989(km)=4.7967)+
(10.0×上り累積標高1.9934(km)=19.934)+(0.6×下り累積標高1.3839(km)=0.83034)]
=登山ルート定数46.3
定数30以上が宿泊を要すると言われていますので、このルートは一般的には宿泊するプランとなります。

難易度:登山グレーディングをベースに登山ルート定数を加味し、日本アルプスガイドセンター独自に難易度を設定。

標準的な難易度 非常に難しい
★★ ★★★ ★★★★ ★★★★★
初めての
日本アルプス
日本アルプス入門
(初級レベル)
経験者むけ
(初級〜中級レベル)
熟練者向け日本アルプス
(中級者以上〜上級レベル)

あくまで参考としてご活用ください。
難易度は、無雪期・天気良好の条件のもと、ルート固有の地形的な特徴について体力度と難易度を評価したものです。
実際の登山では、体力度、難易度以外に悪天候、残雪、体調、その他偶発的な要因による様々なリスクがあるので、
それらにも配慮した計画を立てることが必要です。
仮に★が一つの山も天候が悪化すれば★★★★★以上となり、星の数では評価できない難しさが出てきます。

白馬岳の大雪渓登攀ルートは長野県のグレーディングでは体力度4技術度Cという評価ですが、
日本アルプスガイドセンターでは雪渓を登る体力は通常よりも大きいと判断して、体力度5技術度Cと言う評価にしました。
登山ルート定数は46.3で難易度は★★★となります。